氏名: | 森島倫生(静岡県) |
卒業年次: | 酪農1972 |
所属団体: | 森島農場 |
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私達が、日々おいしいお肉を目指して育種や管理に取り組むのは当然のことなのですが、その基準が特にある訳ではありません。いつの時代にも消費者の評価以外には無いと考えています。この点で常に気にしているのは、外食産業の経営者や流通業者の考えが、どこにあるか、ということです。
例えば、融点の高い溶けにくい脂肪が良いのか、逆が良いのか?お肉のキメが細かい方が良いのか、逆が良いのか?一般的には、いずれも前者が良いとされています。しかし、私達にアドバイスしてくれるこうした業者の中には、「後者の方が良い」という理論を説く人もいるのです。なかなか理解されにくいお話なのですが、聞けば聞く程、説得力があるのです。このように、「おいしいお肉」の概念やありようは、捉えどころがありません。
私は今のところ、豚特有のいやな臭いを少なくする事には自信を持っています。じっくり時間をかけて育てると、どうしてもこの臭みが肉に移ってくるようなのですが、以前から使用している、ヨモギの酵素(早春のヨモギをサイレージ化して生成するもの)のおかげで、このテーマはクリアーしているかな、と考えています。
テレビのグルメ番組では「とろける様にやわらかい。」とか「適度な歯ごたえがあって」などと言いますが、最近の消費者ニーズでは、とにかくやわらかい事が求められているようです。私は、やわらかい肉=おいしい肉とは考えていません。臭みが少ないことと、豚肉の味がちゃんと楽しめる肉がおいしい肉だ、と信じているところがあって私なりのおいしい肉とは、現在の結論として 黒豚特有の固くしまった脂肪と、キメのこまかい肉質だと考えています。
これは逆に言えば、少々歯ごたえがある、決して口の中で溶ける、というような肉ではない、ということになります。 (HPより転載)