酪農学園「緑風会」第5回中央研修会は去る8月4日(土)、酪農学園大学構内のC1号棟101教室で開催された。緑風会が、教育に携わる同窓生の資質・能力の向上と親睦を図り、母校の充実・発展、本道並びに日本の教育の発展に寄与しようとする教職員の集まりであることから、この中央研修会は会として最も大きな事業の一つである。
この度の研修会には、全道各地から30名程の会員が集まり、13時からC1号棟101教室で開催された講演並びに実践報告で研修を行い、また、19時から野幌の「コミュニティプラザあおい」における懇談会で情報交換を深めた。
まず、開会式では、北澤住人岩見沢農業高校長が「教育発展のため、会員一人一人が本研修を通して先んずる知恵を学び、それを基に一歩踏み出す勇気をもって現場での実践に生かしたい」などと就任の挨拶を行った。次に、酪農学園長原田勇様から祝辞の中で「個別学、いわば専門バカ」「原論の重要性」を説かれ、この二つへの対応にあたっては「神を愛し、人を愛し、土を愛するという酪農学園の三愛精神に答えがあるように思う」と貴重な示唆をいただいた。
講演Ⅰでは「環境保全型農業における病害防除技術について」と題して、本学循環農学類農場生態学研究室教授園田高広先生より、「病気は、病気を引き起こす病原菌(主菌)、その病原菌にかかる植物体(素因)、そして病原菌の感染などに適した植物体の生育を妨げるような環境条件(誘因)が整ったときに発生する。この主因、素因、誘因の重なりを減らし、無くすことが発病を抑えることになる」などとして、「植物体内で共生関係にあるエンドファイトの利用」などの紹介をいただいた。
次に教育実践の報告に移り、札幌南高校教諭箱崎陽一先生より「それは農業高校から始まった」と題して、定年を迎える今まで38年間、道内公立高校勤務とそれに伴う教育と研究の実践報告があった。「生物」の教員として様々な調査研究に取り組まれ、「札幌南高校学校林を活用した環境教育の実践」や「国蝶オオムラサキのmtDNA遺伝子塩基配列全長のDDBJへの登録と公開」などの成果を報告された。
最後の講演Ⅱでは「酪農学園大学の国際協力とGIS」と題して、本学環境共生学類環境GIS研究室教授金子正美先生より、ボルネオとモンゴルにおける自然保護活動の取組を豊富なプレゼンテーション資料によりご講演いただいた。砂漠化が進む内モンゴルに木を植える活動の紹介とナヒヤ基金による協力依頼などとともに、ボルネオ島でアブラヤシの急激な栽培拡大により、オランウータンのすみかとなる熱帯雨林が消えている実態をGISデータなどで紹介され、本学学生のホームステイによる活動なども紹介いただいた。
これらのご講演と実践報告に対しては、参加者から多くの質問や意見が寄せられ、活発な研究協議が行われた。
会場をご提供いただいた本学と、お忙しいところご講演、ご報告いただいた先生方に対して事務局より感謝の挨拶があり、多くの拍手をもって研修会を閉じた。
夜の懇談会には農食環境学群長・酪農学部長の干場信司先生や大学院の市川治先生、農業経済学科長の發地喜久治先生、教職センター長金田隆一先生など本学の先生方も参加いただいて、参加者の活躍の様子や本学の状況等の報告などに基づいて情報交換と懇親を深めた。(文責 干場敏博)