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掲載日:2014.09.12

酪農7期知床連山縦走記

酪農7期知床連山縦走記

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 9月1日から2泊3日で知床連山を縦走して来た。メンバーは酪農7期の加瀬(江別在住)、大西(真狩在住)、加藤(東京在住)、城近(埼玉在住)の4人に、酪農17期の門田ガイド、加えて西田ガイド、それに急遽現地にて加わったN嬢、A嬢の計8人。
 きっかけは、10年前、突如山登りに目醒め爾来月1回のペースで登山している加瀬が、2年前知床の斜里岳登山の折泊った山小屋の主人が門田宜久さん。話しているうちに酪大の後輩と分かり、再会を約したとのこと。

 今回、加瀬が企画立案を数人に声をかけ、我々3人が応じた。門田ガイドは若い頃米国ヨセミテ公園でクライマーとして活躍した実力派、西田ガイドはTVの百名山撮影時にガイドとして参加した寡黙にして俊敏なる好青年。私を除く3人は海外の山々も一緒に登山をした経験を有し、私は初デビュー。

 N嬢は昨年八丈島、今年知床、来年はどこでアルバイトするかわからない、さすらいの30代。A嬢は知床財団でネイチャーガイドとして勤務しているしっかり者の女性。

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 初日は快晴。幸先のよさを感じさせる朝であった。岩尾別温泉を6時スタート。門田ガイドは我々の年齢と実力を推し量るように、ゆったりとした歩みで進み、気遣いの声をかける。山道を5時間歩き、沢を登り、羅臼平に到着。重いリュックを置いて、岩がゴロゴロして歩きづらい斜面に挑み羅臼岳頂上(1661m)を目指す。約1時間緊張を要するアタック後、溶岩ドーム状の頂上に立つことが出来た。

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 陽はまさに天にあり、眺望を遮るものはなし。左右にオホーツク海を望み、はるかに国後(くなしり)が海に浮かぶ。

 眼下には知床の青い山なみ、知床五湖も静かなたたずまいを見せていた。満足感に浸り、天候に感謝して羅臼岳に別れを告げ、もとの羅臼平に戻る。リュックを背負い今日の宿泊地三ツ峰キャンプ場に向う。重い足どりで16時頃到着。ガイド2人の手際の良さに目を見張らされた。すぐにお湯を沸かしコーヒーを入れ、低地にたまっている水を持参の浄水器にて飲み水に変え、テントを張る。そして夕食の用意をする。食後、海の見える場所に移動し、陽が雲を染め海の色を映して没する瞬間を、8人並んで嬉々として魅入った。

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 キャンプ場には熊が食べ物の匂いに引き寄せられぬようステンレス製のフォードストッカーなるものが置かれていた。初めて見る装置だった。疲れの為か7時過ぎにはテントに入り就寝。4人用テントに4人は当たり前だが、実に窮屈、お互い我慢と気遣いのテント泊であった。

 2日目も快晴。6時スタート。連山を形成するサシル岳、オッカバケ岳とアップダウンを繰返し、尾根に出た。そろりそろりと慎重に足を運び、二ツ池の縁をめぐり、更に南岳、知丹別岳と登っては降りるという苦行にも似た縦走を重ねた。ここで私にアクシデント発生。何と登山靴の底が左右とも剥がれてしまった。ガイドさんがダストテープを巻くという機転の効いた応急処置をしてくれた。何度かテープを巻き直し下山終了までもったのは実に助かった。ガイドさんの指摘で体温調整の為、ウインドブレーカーを着たり脱いだり、又ストックの使い方の指導、リュックの締め方の指導を受け、いまだ雪渓の残る道をも進み、あえぎながらも二日目の宿泊地である硫黄山第一火口キャンプ場に到着した。雪が溶けた水が豊富で、平らで広いキャンプ場であり、今日は我々の力でテントを張ることが出来た。間近に硫黄山を見上げる場所で今日も7時過ぎに寝たがロマンチスト加瀬は一人起きだし、満天の星を、息をころして眺め、震える感動を覚えたとのこと。残る3人はテントの中で眠っていた。この夜の気温は零度を下回ったに違いない。朝起きた時、雪渓が凍っていた。

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 3日目の朝も快晴であった。門田ガイドの話では長いガイド歴の中でも3日連続の快晴は奇跡に近いとのこと。まさに僥倖、日頃の行いの良さが反映されたとの思いが深まった。

 硫黄山はその名の通り火山噴火で硫黄が噴出し固まった山。色彩は黄色を呈し強い臭いが鼻につく峻嶮を誇る山であった。道は火山灰で覆われ、滑り易く歩きづらい。慎重の上にも慎重を重ねて足を運び、時に恐怖を覚え、汗を拭きつつ登攀した。山頂から知床連山はやせ馬の背のように見え、今日も左右に漁船が白波をたてて進むオホーツク海が青く、空に続いていた。知床五湖も国後(くなしり)もくっきり見える。一寸となじみの風景となった感がある。

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 人は高い所に立つと写真を撮るものに違いない。今日も皆で写真を撮り合い、喜びをカメラに残した。達成感がじわっと滲み出る。それからの下りはとても長く感じられた。

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 はい松が行手をふさぐ狭い道。しかも木の根が張り出し石がゴロゴロしている悪路をひたすら歩く。体温が高くなり確実に地上に近いことが感じられる。見渡すと樹海の中を歩いている。カラ沢の中を歩いている。6時に出発し、13時過ぎに無事下山。67才の夏は歓喜のうちに終了した。 晴天に感謝。仲間に感謝 (完)

(文責 酪農7期 城近 泰)(写真 酪農17期 門田 宜久)

酪農学園同窓会(2014.09.12)

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